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会社で孤立した時にまず思い出すべきこと

会社で孤立した時にまず思い出すべきこと

ただ真面目に働いていただけなのに、特に誰かに何かをしたわけでもないのに、いつの間にか職場で孤立してしまうということは、誰にでもあり得ることです。

孤立は非常に苦しいものです。自分を受け入れてもらえるように、自分の考え方を直そうと深刻に悩んだり、悩んでいる内に冷静さを失って、怒りに任せて突飛な行動に出たりしてしまうこともあります。

そのような方は、この問題の解決に取り組むために確認しておかなければならない、ある大前提を見失っている可能性があります。

どんな価値観もあなたの自由

職場で孤立していると、会社の同僚や上司と仲良くできない自分の性格や価値観が間違っているのではないかと考えてしまいがちです。

しかし、現代日本では内心の自由が保証されています。

あなたがどんな価値観をもっていても、それはあなたの自由です。何を好きになり、何を嫌いになるか。何を正しいと感じ、何を間違っていると感じるか。こうしたことは全てあなたの個性を形作っている重要な価値観です。その価値観について、誰に文句を言われる筋合いもありません。まして、いち営利企業ごときが思想統制など、とんでもないことです。

確かに、あなたが孤立している会社の中で「上手くやる」ことを望むのであれば、あなたの価値観が邪魔に感じられるかもしれません。

しかし、それは「価値観が間違っている」とか「悪い価値観を持っている」ということではありません。単に「会社で上手くやる」という目的を考えた時の合理的な計算から導き出される戦略的な課題であるに過ぎません。

おそらく、あなたの会社の人々は「あいつは性格が悪い」といったように、道徳的・倫理的な問題があるかのように考え、あなたの価値観は「矯正されるべきである」と考えているでしょう。(これは理論的に説明可能な現象ですが、それはまた別の機会に。)

だからといって、あなたの内心の自由が侵害されなければならない理由にはなりません。誰がなんと言おうが、あなたの価値観がどうであろうとあなたの自由です。

あなたが職場で孤立してしまうのは、あなたに道徳的・倫理的な問題があるからではありません。単にマッチングの問題です。

この大前提をしっかり思い出してください。職場からの孤立を道徳的・倫理的な問題として考えてしまうと、非常に大きなストレスになるうえ、建設的な思考ができなくなってしまいます。

いじめや晒し上げは犯罪行為

最初はなんとなく孤立して、周囲から距離を取られていただけでも、徐々にいじめへとエスカレートしていくことがあります。

職務上必要なコミュニケーションすら無視されるようになったり、みんなが見ている前でこれ見よがしに晒し上げにされることもあるでしょう。

さらに悪質になると、暴力や経済的損害を伴うものになっていきます。

日本語の「いじめ」という言葉は事実を隠蔽するのに便利な言葉です。暴力や経済的損害を与える行為は、端的に犯罪です。晒し上げも過度になると罪に問われます。

道端でいきなり殴られたり、あなたの所持品を破壊・窃盗されたりすれば、まず警察に通報するでしょう。これが、会社組織という閉鎖社会の中で行われると「警察を呼ぶのは大げさだ」「警察より先に上司に相談すべきだ」ということになり、隠蔽されます。たまに外に出て報道された場合でも「いじめ」という言葉で、それが犯罪であるという事実がぼかされています。

もしあなたが犯罪に該当するような悪質な行為の被害を受けているのであれば、我慢する必要は無いということを思い出してください。刑法よりも会社の規範が優先される根拠などありません。単にあなたは被害者で、相手は加害者であり、犯罪者なのです。

市民社会の倫理規範と「聖なる職場」の倫理規範

これまでに見てきたような、あなたの価値観を「矯正」しようとする力や、「いじめがあっても警察を呼ぶのは大げさだ」として隠蔽しようとする力は、開かれた市民社会の倫理規範とは異なる「聖なる職場」の倫理規範が蔓延していることに原因の一端があります。

「民主主義は工場の門前で立ちすくむ」という有名なことばがありますが、会社組織という閉鎖された環境では、その閉鎖環境に特有の倫理規範が醸成され、組織のメンバーにその規範を共有するように強制する力が生じます。

その規範を共有しない人間がいると、彼らは自分たちの「聖なる職場」が侵害されたような被害意識を持つようになります。自分の目の前にいる異物の存在を許すことができず、除外しようと躍起になります。

このような現象は社会科学の分野で研究が進められており、理論的な蓄積があります。私達はその科学的な蓄積を活用し、自分が孤立している環境を冷静に分析した上で、次に何をすべきかを合理的に考えることができます。

そのためにも、あなたが「悪い」わけではないことを思い出し、冷静になる必要があるのです。

参考文献

内藤 朝雄(2001)「いじめの社会理論」柏書房


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